シリーズ闇の支配者ゾーマ様
僕が社会人となって入社17年目までお世話になった部署の最高責任者、取締役本部長の話。
自部署を絶対的に支配するおぞましいほどの存在。彼の名は、ゾーマ様。
まさに闇の支配者である。
今回は第4弾の記事。過去記事も貼っておくので、ぜひ第1弾からご覧ください。
【シリーズゾーマ様#1】闇の支配者・ゾーマ様との17年
【シリーズゾーマ様#2】闇の支配者ゾーマ様の弱点
【シリーズゾーマ様#3】しっぽが生えて魔物になった日
ゾーマ様は普段、城から出てくることはない。
しかし、時折こちらの世界へ向けて遠隔攻撃を使ってくる。
魔界と現世をつなぐ通信手段。それが社内イントラネットだった。
通常城に身を潜めているゾーマ様も、稀にその機能を通じてメール攻撃をしてくるのだ。
僕たち部下は同じ町の中でも、いくつかの職場に分かれていて就業場所はそれぞれだ。城から離れているからといって、油断もできない。
社内メールの送り主がゾーマ様だった時、血の気が引いていく。
そして届くのは暗号メールである。
「よさんの、けかくは、やくつくれ、すぐに店に恋いそげ、花鳥なんだろろ、岩内とできないのか。。」
あー、そうだった。ゾーマ様は上司の前に魔物だった。
人間界の文字入力は習得中らしい。使えるの指は、は人差し一本のみである。
僕らは管理職を超えてパーティを結成する。暗号解読班である。
「けかくってなんだろう?」
「その前によさんがあるから、計画じゃないだろうか」
「恋いそげ・・・?」
「いや違うだろう。来い!急げだ」
「花鳥?」
「はなとり、いや違う・・・課長だな!!」
「岩内って北海道?」
仲間と相談しながら、解読を進めていく。導き出された答えがこうだった。
「予算の計画を早く作れ。直ぐに見せに来い。いそげ。課長なんだろう?言わないとできないのか。」
どうやら、恋を急いでいたわけではなさそうだ。
急いでいるのは、いつも提出締切りだった。今日中に持ってこいは日常茶飯事だ。
もちろん他の仕事もしているわけだから、たまったもんじゃない。
それでも、僕らはバシルーラを食らわないために必死に指示をこなした。
でも、ゾーマ様のおかげで気づいたこともある。
最初のころは100点の資料を作って提出していた。夜遅くまで残り、何度も数字を確認し、丁寧に完ぺきに仕上げていた。
ところが・・・
たいして見ない。
せっかく作ったのに、この対応はあんまりだと憤慨していた。
でもこうも捉えられた。完ぺきなものは必要ない。60点の内容でいいのだ。
たいてい、いいたいことを言って資料を返される。そこで、求められているものが分かるのだった。
あの暗号だけで分かるはずがない。
しかし暗号が送られてきてそれを解読して、成果物を持っていく。
その成果物もぶちまけてしますゾーマ様。なんて人だと改めて思う。
あ、魔物だった。
暗号騒動が落ち着いた後日、また暗号が送られてきた。
「よさんできちぇないかちょ、まだいるは焼くもってこいといただろお、機嫌までだすさないとと、ばすとばす。」
解読後はこうだ。
「予算できていない課長がまだいる。早く持ってこいといっただろう。期限までに出さないととばすぞ。」
「とばす」が二回続いている。赤文字よりもこわい。
ゾーマ様は、文字にまで怨念をのせてくる。
この技術を教えて欲しいぐらいだ。しかし、このケースは過去にもあった。
提出したのに忘れているパターンがある。ただ、以前提出しましたよね。が通用するような甘い戦闘ではない。
たとえパーティー全員で挑んでも勝てない。
まあ、同じ資料であってももう一度出せばいいか。また急な締切だろうから、新しい物を準備する時間はないだろう。
過去の資料をもう一度整理し、準備をはじめた。
しかし、今回は丁寧に期限が設けられている。
メールの末尾にしっかりと期限が明記されていた。
「きげん、3018年、7がつ3日」
1000年後である。
「マジ半端ないって、めっちゃ猶予くれるやーん!」そう思ったが、相手は闇の支配者である。
1000年後でも翌朝提出と言い出しても不思議ではない。ゾーマ様は、カレンダーまで支配下においているということだろう。
あれから10年近くが経過した。
今では仕事でも「まずは60点で出してみよう」そう考えられるようになった。
そして締切りは必ず守る。ゾーマ様のおかげで身に付いた数少ない財産である。
ただし3018年締切だけは、今もまだ僕の心の奥底でカウントダウンが続いている。
今回もゾーマ様シリーズ、ご覧いただきありがとうございます。#5にご期待いただける方は、ぜひご登録をお願いします。




ゾーマ様、怖すぎ....だけど、めっちゃわかりやすい人だなって思ってしまいました!
たれさんが100点じゃなく60点でいいって思えたところ、わたしも真似したい!
うちの上司も、ゾーマ様の足元にくっついてる上司に思えてきた(笑)
突然、朝、連絡があって、今日は、早出出勤出来るかと聞いてきたりするタイプです💦
もっと、早く言え、、、その予定、1週間前から決まってたでしょって心の中で思ってます🤣
えっ笑っちゃいましたが…これ実話ですか?!😳そんな魔物が現実にいたんですか😳ちょっと…すみません。1話から読んできます…!!